「ダークナイト ライジング」


再会したと言いつつ仕事が忙しくなると途切れるいつものパターンですが、今回は『ダークナイト ライジング』を観てきたので壮絶にネタバレを含めて書きたいことを書いてみるテスト。

たぶんそのうち町山さんとかがちゃんとした批評をしてくれると思うので今のうちに:P

以下、ネタバレ注意!

さて、『ダークナイト ライジング』ですが。

個人的にはすばらしい映画体験でした。164分という超尺ながら、終わってみるとどこにそんな時間がかけられたのかわからないくらい、時間を感じさせませんでした。3部作の完結編としては完璧だったんじゃ無いかと思います。素晴らしかった点については山ほど言われているし自分もほぼ同感です。

が、脚本的には言いたいことがどうしても出てくるのでそのへんを中心に。

というかゴッサムシティ、もう、これ、ニューヨークですよね?(追記:シカゴらしい)

証券取引所とか。川に挟まれて橋が架かっていたりとか。

で、どういう物語だったかというと、

「市民」がウォール街のオキュパイに成功したら無法の限りを尽くすので、一旦は敗北した警察と金持ちが秩序を取り戻すために力を合わせて立ち向かう話

でした。

いいのかノーラン監督。いや、意図はわかるし、重いテーマによく挑んだと思うけど、今やるか。いや、今こそか。

ゴッサムシティを支配下に置いていくベインたちに感情移入する向きも当然あるだろうし、それはつまり、思わず感情移入したくなるような魅力的な悪役を設定することに成功した証でもあります。ところが、元々の支配者層である金持ちを引きずり下ろした後にやってくるのは新たな支配者となった「市民」による暴力。「ベインやその手下が市民なものかいな、奴らに虐げられる人たちこそ市民でしょう」という意見もあるかと思いますが、内に秘められた牙をむき出しにした「市民」による暴力の恐ろしさはここ100年の歴史だけを振り返ってみても枚挙にいとまが無いわけですし。そもそもベインの手下たちは孤児院を追い出されたりした最下層の若者などで構成されていて、まさに「希望は戦争」を地でやろうとしています。オキュパイの運動は自分たちを99%の側と主張しますが、革命というのはどちらかというと1%の人間が流血も辞さず自分たちの主張を押し通そうとしたときに起こるんじゃないかな。99%のけっこうな部分は革命の過程でひどい目に遭う側な気がします。

で、当然物語的には、ベイン率いる革命軍と、秩序の守護者たる警察&正義のヒーローの闘いという構図の中で、どちらにも感情移入せざるを得ないという葛藤を生み出していくものとばかり思っていましたが。

驚愕の真実によってせっかくの構図をぶちこわしてしまいました。

さすがにその展開はちょっと…。

ここ10年くらいの映画に多くなってきた気がするんですが、大どんでん返しを演出しようとするあまり、そもそものテーマを否定してしまうような脚本がまま見受けられます。

ラッセル・苦労クロウの『消されたヘッドライン』なんかそんな感じだった記憶がありますが…。

目を覚ませ!おまえのやりたかったテーマは何だったのか思い出せ!みたいな…。

まあ、そこまで正反対にひっくり返してしまったわけではないですが、テーマ性が打ち消されてしまった感は否めません。前作『ダークナイト』の脚本が、ジョーカーとトゥーフェイスという二人の敵役を配しつつ、一本のテーマにしっかり絡めて散漫にならなかったことを思えば、今回の脚本はそれに及ばず、と言わざるを得ない所です。個人的には。

せっかくベインを最強の敵っぽく登場させたんだから最後まで使ってあげようよ!

この点については、少なくとも映画批評を生業としている人がスルーするのはどうかと思います。「そういう穴はあるけどそれでも大好きだ!」という意見を付加してくれるのは全然問題ないんですけど、一切の瑕疵の無い完璧な脚本だ、と言われると、その批評家を批評家として信用できなくなります。

ああすっきりした。

それでも自分の中では素晴らしい映画体験だったことには違いないので、満足でしたが:D

見方によっては今の日本にもかなり直球でヒットするテーマじゃ無いかと思います。

あと蛇足ながら。

最後、カフェでアルフレッドが…のシーン。そのカップルのカット、いらなくないですか…。カフェにやってきたアルフレッドが、気がついて、にっこりうなずくカットだけじゃだめなんですかね…。

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